2012年春英検1級問題分析&攻略法

2012年 秋 英検1級問題分析 Part1

2012年秋の英検1級は、語彙問題のレベルが高く、いつもより3点ぐらい下がった人が多いようです。

しかし、読解問題とリスニング問題はいつもと同じレベルで、エッセイライティング問題は比較的取り組みやすかったかと思えるので、合格点は77点前後でしょう。

 

まず、語彙セクションは、21問中、1万語水準以上の上級語彙が9問も出題されており、全体の4割以上を占めているのに対して、8千語から1万語水準までの中級語彙が8問の約4割で、6千語から8千語水準までの初級語彙(準1級語彙)が4問の約2割となっており、語彙問題を見てクラクラっとなった人もいるかもしれません。今回は、語彙問題21問の平均レベルが9千5百水準となっており、通常の8千から8千五百水準よりもかなり高く、語彙の豊富目の人でも20点ぐらいで、語彙の少ない人の場合は15点未満になってしまうでしょう。このレベルの問題こなすには、受験勉強の時のように、毎週語彙テストを受けながら気合を入れてボキャビルしないと英検1級にパスするのに20年以上かかってしまうでしょう。

 

穴埋め読解問題のレベルは普段と変わらずで、1つ目のパッセージThe Faces of Neroはsuggestiveですが、大体わかるでしょう。消去法を使えばクリアになります。2つ目のパッセージCooking and Early Humansは31番が、英検1級問題によくあるパターンの反証例で、Harvard University~の前に、howeverもない今一の文で、よく読まないと間違いそうな「行間裏返しパターン」ですが、それ以外の問題は簡単でしょう。内容一致問題は、1つ目のパッセージAlbania: An Explosive Legacyの44番が「行間裏返し型」ですが、さほど難しくはなく、2つ目のThe Dreyfus Affairは36と37が、3つ目のThe Fight over Conflict Diamondsは41が英検1級によく見られるやや難しい問題パターンとなっていますが、全体的には19~20点は取れる問題と言えます。

 

エッセイライティングトピックは、2次試験の必須トピック70のトップ30位に位置するものなので、1次試験対策と2次試験対策を同時に行っている人は楽勝ですが、1次対策のエッセイライティングトレーニングでも必ず扱う重要トピックなので、トレーニングによって最低22~23点は取って欲しいものです。最後に、リスニング問題は、対話式問題が思ったより点が取れなかった人が多いようですが、他はそれほど難しくはなく、24~25点ぐらいは取れた人が多いようです。そこで総合すると、着実に勉強し、実力を上げた人であれば、語彙セクションで20点、読解で20点、エッセイライティングで22点、リスニングで25点の計87点は取れ、余裕合格できるでしょう。

         Let’s enjoy the process!陽は必ず昇る!)

語彙問題分析と攻略法

英検1級に出題される単語は3つのレベルに分けることができ、今回出題された語彙を、当アクエアリーズ出版の「英検1級対策ボキャビルテキスト」とそのリスト「英検1級・準1級頻度別語彙リストTop 1000(頻度順に100リストUP)」で調べてみると、解答となる問題のカバー率は約7割でしたが、その他の5割近くは時事英語語彙なので、「発信型スーパーボキャビル」や「茅ヶ崎時事英語」などでカバーできます。また、今後の語彙問題で狙われる可能性のあるその他の選択肢を含む、84個すべての選択肢全体のカバー率は約8割となっています。

レベル1 60008000語水準(基礎語彙) 主に準1級・1級初級レベル・・・4個出題(19%

innately(4回出題:6千語), stifle(3回:7千語), turbulent(1回:6千語), plenary(1回:7千語)

 

レベル2 800010000語水準(必須語彙) 主に1級中級レベル・・・4個出題(38%

predicament(2), frantic(2), bombardment(3), redress(3), labyrinth(9千語), concerted(9千語)meticulous(8千語), rift(29千語),

 

レベル3 10000語以上(完成語彙) 1級上級レベル・・・4個出題(43%

bigotry(2回:1万2千), denote(1万1千), hone(1回:1万語), preemptive(2回:1万語), quizzical(1万2千語), distraught(1万5千語), mosaic(1万2千語), spearhead(1万語), bridle(1万5千語)

 

1 英単語の後にある( 回)の表示は、過去20年間の英検1級語彙問題に選択肢として出題された回数。

 

また、句動詞は、アクエアリーズ出版の「句動詞1000」のテキストとそのリスト「準1級・1級句動詞頻度別リストTop 600(準1最重要100 / 準1重要100 /1級最重要200 /1級重要200」における解答のカバー率は4問中4問の100%で、解答を含めたすべての選択肢のカバー率は16問中12問の75%でした。

 

語彙問題の傾向として、通常は文脈をほとんど無視してコロケーションで解ける問題が多いのですが、今回は多少文脈で解く必要のある問題が増えています。アクエアリーズの『英検1級語彙スーパーボキャブラリー教材』や『発信型英語10000語レベル スーパーボキャブラリービルディング(CD3枚付) 』で、「ボキャビルトレーニング」を実践している人なら全体を5分~10分ぐらいで解いて満点か満点近い点が取ることが可能です。

 

語彙問題は、NC(no-context型でコロケーションだけで解ける問題)SC(semi-context型でコロケーションと空所の数語の文脈で解ける問題)FC(full-context型でほとんど全文を読まないと解けない問題)3つに分かれますが、英検1級の語彙問題の場合、意味・用法・コロケーションの限られたハイレベルな語彙が多いので、運用語彙の豊富な人なら、ほとんど文脈なしでコロケーションで解けるNCSCタイプの問題の割合が高くなります。特に、英検1級の語彙問題の選択肢はコロケーション(語と語の自然な組み合わせ)を利用すれば簡単に解くことができますので、それを交えながら解説していきましょう。

 

1番は7千語レベル語彙で、 selfish(わがままな)からinnately(先天的に・生得的に)コロケーショ

ンで解ける「3秒問題」。さらにhuman beings areまで読めばinnatelyが解答であると確信できる。

もしinnatelyの意味が分からなくても語根のnatの「生まれる」という意味から推測して解答を選

ぶことも可能。

  語根でボキャビル  nat「生まれる」の意味を表す。

innatein(~で)+nat(生まれる)生来の,先天的な;固有の,本質的な

natalnat(生まれる)出生の

nationality国籍;国民;国家;国民性

nascent生まれようとしている,初期の;《化学》発生期の

2番は時事英語でよく出てくる語彙で、 strike(攻撃)からpreemptive(先制の)コロケーションで解

ける「3秒問題」。

 

3番は普通、語彙教材でカバーするような語彙でありませんが、昔ヒットした映画のタイトルで、洋

画をよく見て来た人なら誰でも知っている語で、ハイレベルな語彙ではありません。 the network

of twisting alleys(網目状に曲がりくねった通り)からlabyrinth(迷宮)文脈で解ける「7秒問題」。

この言葉はギリシア神話に由来しており、クレタ島のミノス王が怪物ミノタウロスを監禁するため

に作らせた迷宮「ラビュリントス」を指し、これが「迷宮,迷路,迷園」の語源となっている。

 

4番は、 スピーカーの、his comments would enlighten and inspire the audience(彼のコメントが聴

衆を啓発したり鼓舞すると望んだが、but(コントラスト)なので、唯一のネガティブな選択肢

quizzical(いぶかしげな)を選ぶ、文脈で解ける「15秒問題」。quizzicalの意味が分からなくても、

quiz(質問・尋問)から類推できるでしょう。

 

5番は、criticism(批判)からstifle(抑える・抑制する)とコロケーションで解ける「3秒問題」。さらに、dictator(独裁者)まで読めばstifleが正解であると確信できる。

   音素のst, strは「細長く張った緊張のエネルギー!」

stifle(窒息させる), strenuous (精力的な), stringent(厳しい), stern(厳格な),

strife(争い), startle(驚かせる), sturdy(たくましい), stumble(つまずく)

6番は、 effort(努力)からconcerted(協調した)とコロケーションで解ける時事英語語彙で「3秒問題」。

 

7番は、 he missed his flight to Australia(彼はオーストラリアへの飛行の便に乗り損ねた)から、was

distraught(狼狽した)文脈で解く「5秒問題」。

 

8番は、 語法的に、found herself in quite a predicament(彼女自身が大変困難な状況にあると認識していた)と解くべき「3秒問題」だが、さらに、had arranged to meet two different clients for business dinners on the same eveningまで読めば、文脈から確実に解ける問題。

 

9番は、a term used toからdenote(示す・表す)とコロケーションで解ける3秒問題」。

 

10番は、different ethnic neighborhoods(様々な民族に属する近隣住人)からa mosaic of (寄せ集めの、モザイク風の) と文脈と語法で解ける「5秒問題」。

 

11番は、meetingから最も結びつきそうなのは、plenary(全員出席の)とコロケーションで解ける「3秒問題」とも言えるが、desultory(散漫な)surreptitious(内密の)も絶対結びつかないわけではないがマイナーで、前者は主に「会話」、後者は「一見」などを修飾する。Every one of its 500 members was asked to attend.まで読むと、正解がplenaryであると確信できる。

 

12番は、when the elevator suddenly stopped between floors(エレベーターがフロアの間で急に停止して)からbecame frantic(気も狂わんばかりとなった)と文脈で解ける「7秒問題」。

音素fr「超高温・超低温の変化」を表し、fry(揚げる), freeze(凍る)から

そこから、fragile(もろい), frail(ひ弱な), fragment(破片), fracture(骨折)

fray(すりきれる), frivolous(軽薄な), frugal(つつましい), fritter(むだに費やす)

などの「脆い」意味の語彙が生まれる。

13番は、 a campaignから最も結びつきそうなのはspearhead(率先する)とコロケーションで解ける「3秒問題」。ちなみに

音素のsp, sprスパーッと飛び出すエネルギー!」

      spasm(発作), spawn(卵を産む), spew(噴出する), splurge(乱費する)

sprout(芽をふく), spurn(拒絶する)などの語彙が生まれる。

14番は、the most (    ) years in the country’s historyからコロケーションで解ける「3秒問題」。

 

15番は、the student remained calm~, butの「コントラスト」、教授によるthe suggestion he had stolen other author’s work)に対する反応、left the room in anger(怒って部屋を出て行った)の文脈から、bridle at(~に憤慨する)と解ける「10秒問題」。

 

16番は、 aerial(空中の)からbombardment(攻撃)とコロケーションで解く「3秒問題」。

 

17番は、(about) cleaning(掃除)からmeticulous about(~に几帳面な)とコロケーションと文脈で解ける「3秒問題」。

 

18番はsuch a closed-minded attitude((政府の)そのような了見の狭い態度)からbigotry(頑固[偏狭]な考え)と文脈で解ける「7秒問題」。

 

19番は、 an argument over money caused a (     ) between the two friends(2人の友達の間の)からrift(不和・仲たがい)と語法と文脈で解ける「5秒問題」。

20番は、their skillsからhone(磨く)とコロケーションで解ける「3秒問題」。

 

21番は、 offer のコロケーションで解ける3秒問題」であるが、無理な人は to its customers for accidents caused by the defective products(欠陥製品によって引き起こされた事故に対して顧客に~を与える)の文脈から、redress(補償・償い)と解ける「10秒問題」。

 

22番は、help clean up the city’s parks.(公園の清掃を手伝おうと)から、pitching in(協力する)と文脈で解ける「5秒問題」。

23番は、文頭にあって叱咤激励だと分かるので、Snap out of it.(シャキッとしろよ)と解ける「3秒問題」。Aのセリフの We’ll never get this sales report done if you don’t concentrate.(集中しないと売上報告は絶対仕上がらないですよ)や、BのセリフのI can’t stop thinking about tomorrow’s performance review.(明日の勤務評価が気になって仕方なくって)から、文脈で解くと「10秒問題」。go back on it(撤回する)get away with it(罰などを免れる)は、共にYou can’t go back on it!(後には引けないよ)You can’t get away with it!(そんなことをしてただじゃすまんぞ)のように使える表現。

 

24番は、its future investment plans(その会社の投資計画)から laid out((計画を)立てた)とコロケーションで解ける「3秒問題」。

 

25番は、a bad crowd in high school(高校の不良仲間)からfell in with(付き合った)とコロケーションで解ける「3秒問題」。

皆さんいかがでしたか。それでは明日に向かって英語の道を

         Let’s enjoy the process!陽は必ず昇る!)

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