まず語彙問題に関しては、全体の比率67%だと25問中17問正解しないと合格レベルに達しないことになる。しかし、合格者の平均が83点中16点(正答率64%)ということは、語彙だけの換算で行くと、合格に最低必要な語彙の得点は16点×76点÷83点=15点(正答率60%)となり、語彙問題は他の問題に対して、点がとりにくい難しいものであることがわかる。このことは受験者全体の平均が12点、つまり正答率48%であることからもわかる。ところが過去の得点を見ても、この語彙問題の合格者の平均は16点±1点であるので、今回のレベルは平均レベルと言える。

ちなみにボキャビルに力を入れているアクエアリーズ1級クラスの受講者は、真剣にボキャビルをしている生徒で23〜25点(92〜100%の正答率)、普通の生徒で20点(80%)を取っているので、ボキャブラリーセクションだけで合格点の15点を6〜7点は上回るので、それだけでもすごく有利であるといえる。というのも不合格Aの2〜3点不足という受験者のほとんどが、語彙の得点が16〜17点で伸び悩み何回も受験しているケースが非常に多く、そういった意味で、このセクションを一気に5〜6点UPするということは合格への最短距離と言えるのだ。

次に読解問題であるが、今回の穴埋め問題は非常に簡単であったため、合格者の平均は正答率83%、受験者全体でも67%であった。それに対して、内容一致問題は少し難しかったようで、合格者の平均は正答率75%、受験者全体でも60%であった。全体的には、合格者の平均は正答率77%、受験者全体でも62%で、得点は26点満点中、前者は20点、後者は16点であった。例によって67%の正答率換算で見ると約17点取ればいいことになるが、合格に最低必要な読解問題の得点は18点(正答率70%)なので、このセクションは語彙問題に比べて点が取りやすいセクションであることがわかる。過去の問題レベルと比較すると、合格者の平均が正答率80%であることが多いことから、今回の読解問題はやや難しめのものであることがわかる。ただ今回は経済に関するトピックが多かったので、ビジネスピープルや経済学メジャーに有利な問題であるので一概にそうとは言えないが。

次にリスニング問題であるが、今回の会話文問題は、合格者の平均は正答率79%、受験者全体では57%であった。それに対して、一般文問題は、合格者の平均は正答率75%、受験者全体でも60%であった。全体的には、合格者の平均は正答率76%、受験者全体では59%で、得点は34点満点中、前者は26点、後者は20点であった。例によって67%の正答率換算で見ると約23点取ればいいことになるが、合格に最低必要な読解問題の得点は24点(正答率71%)なので、読解問題と同様にこのセクションも語彙問題に比べて点が取りやすいセクションであることがわかる。

ところで今回はナレーションのスピードが非常に速かったという声が多く、このため受験者全体の平均が正答率60%を下回るという結果となってしまった。英検側としては帰国子女の増大に対応すべく、リスニング問題の放送スピードをタイムストレッチなど用いて市販の過去問題集よりも速くしていると思われる。また、会場によって放送の聞き取りにくい所があるので、そういった会場で受験しないように注意すべきである。リスニングテストはスポーツの試合によく似ていて、テスト慣れするのが非常に重要なので、理想的には語彙テストと同様、毎週シミュレーションテストを受けてトレーニングし、ベストコンディションでテストに望むようにするべきである。

最後にエッセイライティング問題であるが、合格者の平均は正答率75%、受験者全体では50%で、得点は28点満点中、前者は21点、後者は14点であった。例によって67%の正答率換算で見ると約19点で、合格に最低必要な読解問題の得点も19点(正答率67%)であるので、ちょうど英検1級の問題全体の中間レベルで、読解やリスニング問題と同様に、このセクションも語彙問題に比べて点が取りやすいセクションであることがわかる。今回の英作問題のレベルは、受験者の得点から判断すると、いつもよりやや難しいレベルである。このエッセイライティングは、毎週書いて10本ぐらい書いて添削トレーニングすれば、誰でも合格者の平均を軽く上回る23〜24点ぐらいは楽に取れるようになる。スコアが16〜17点で伸び悩んでいる不合格者が多い中、不合格者の平均である14点から10点UPの可能性を大いに秘めた、これまた語彙セクションとならんで合格への最短距離を可能にする重要なセクションである。