自由英作 & 2次試験対策

ネットマガジン「英語の達人」Vol. 2 通訳ガイドになろう!第3回は、1次試験の日本事象説明英作問題と2次試験対策を兼ねたトレーニングをしましょう。通訳試験ガイドには、普段当たり前だと思って見過ごしがちな日本の事象が問題に出題されます。そのためには 日本事象に物知りになっておく必要があります。2次試験を試験官とのinformative(情報豊か)でenlightening(啓発的な)な会話で楽しくクリアするためには、日本の事柄・出来事に対して子供のような好奇心を持ち、新鮮な目で、「何故なのだろう、どうしてこうなったのだろう?」と物事を見ていくことが必要です。では数々の日本の事象を見ていきましょう。

まず最初の問題は日本文化のお馴染みの光景ですが、いかがでしょうか。

Q1. Why are the Japanese always so quick to pour sake into another’s cups?
(何故日本人は人にすぐに酒をつごうとするのですか。)
A. 日本では一緒に酒を飲んでいる相手のコップが空いていたら満たしてあげるのは礼儀です。飲食を共にするのは、仲間意識を確認する儀式のようなもので、社会人では酒を介したつきあいが基本になることが多いのです。 A. In Japan it is always polite to refill the empty cup or glass of others, when drinking sake together. Drinking and eating together is a kind of formality of ensuring that one is a member of the communal society. In Japan drinking sake together is based on a desire to become acquainted with others.

[一言アドバイス]
第一文はいいのですが、第2文はどうでしょう。「なぜつぐのか?」の質問の答えになっていますか。これだと「なぜ一緒に酒を飲むのか?」の理由になってしまいますので、”Pouring sake into each other’s cups is considered to help build companionship which is necessary for the harmony-oriented Japanese society.” 「酒を注ぎ合うことは、調和を重んじる日本社会で重要な仲間意識を生み出すのに役立つから。」とすればよくなります。

さて、次の問題は実に日本全国の親御さんにとって耳が痛い問題ですが、一緒に考えてみましょう。

Q2. Why are Japanese parents lenient over children?
(何故日本の親って子供に甘いのですか?)
A. 民主主義の考え方が浸透し、誰もが平等という考え方が強まり、以前のような親の権威はなくなりました。親はかわいがることと甘やかすことを混同していことあります。 A. With the spread of the concept of democracy, everyone has become equal and parents’ authority has been lost. Parents sometimes brings up the children with much care and can’t draw a line between loving a child and spoiling a child.

[一言アドバイス]
これはいかがですか。becauseもなくキーアイデアのサポートもないのでわかりにくいので、

There are two reasons for the lack of parental discipline after World War U. One reason is the loss of parents’ authority after World War U. The once-valued Confucian traditions have crumbled under the profound influence of Western liberalism and democracy. This has seriously undermined parent’s disciplinary power over their children. The other reason is Japanese parents’ strong affection for their children that causes their indulgence toward their children. They can’t draw a line between loving and spoiling a child, and therefore they tend to be very soft on their children. (87語―35秒)

大意 戦後親が甘くなった理由は二つ。@親の権威が失墜。西洋文化の影響でかつて重んじられた儒教の教えは崩れ去った。A子供への強い愛情が甘やかすことにつながっている。

以上のように”signposting”して、ポイントをサポートして行くと論理明快に展開していることがはっきり分かります。

次のトピックは、日本ではごくありふれた光景であまり考えたこともないトピックかもしれませんが、チャレンジしてみましょう。

Q3. Why are alcoholic beverages sold in vending machines in Japan? 
(日本では何故自動販売機でお酒が売られているのですか?)
A.販売しないと一般の人に不便をかけるという理由から自動販売機で売られているそうです。個人的には酒やポルノが自由に手に入る状態にしておいて、未成年には買ってはだめだと言うのは、間違っていると思います。 A I heard that the reason is that businesses want to cater to the general public’s need and convenience. Personally, I think it is totally wrong to tell minors that they cannot buy alcoholic drinks and obscene magazines when they are readily available.

[一言アドバイス]
これは非常に問題があります。質問は酒が売られる「理由」を聞いているのに、第2文はその理由ではなくその状況の価値判断をしています。第1文で述べたポイントのサポートもなく、また「大衆のニーズを満たすため」という理由も弱く、しかも理由が1つしかないという、マイナス点がつきそうな英語です。”signposting”して次のように言えばよくなります。

I think that there are two reasons for the situation. One reason is liquor stores’ profit motives. Unlike in vandalism-prone America, vending machines go a long way toward increasing the sales of those commodities in Japan. Therefore, all the liquor shops try to increase their sales through vending machines, especially during the night. The other reason is the Japanese government’s loose regulations against teenage drinking. The government is not ready to tighten its control over minors’ drinking to the extent of inconveniencing the general public or affecting liquor sales. (89語―36秒)

大意 
一つは酒屋の利益向上目的。公共物破壊が日常茶飯事のアメリカと違い、日本では自動販売機は商品売り上げ向上に役に立つ。もう一つには政府が未成年飲酒に甘いこと。一般の利便性や酒類販売に影響を与えてまで、取締りを厳しくする意向はない。

答えを見るとなるほどと思ってしまうのですが、うまく質問を的確にさばくことは実に難しいことですね。でも訓練をしていけばきっと上達しますよ。