社会
文化
地域

去年の検定試験の「試験T」の後半は上記の分野からの出題が非常に多く、「試験T」の少なくとも3分の1は上記の分野から出題されていたと思います。特に、問題14から、最後の問題である問題18までだけを見て、これが「日本語教育能力検定試験」の問題である、と見抜ける人はまずいないでしょう。 

出題範囲の表を確認しておきますと、「社会・文化・地域」の主要項目は以下のとおりです。
1. 世界と日本
(1)諸外国・地域と日本
(2)日本の社会と文化
2. 異文化接触
(1)異文化適応・調整
(2)人口の移動
(移民・難民政策を含む。)
(3)児童生徒の文化間移動
3. 日本語教育の歴史と現状
(1)日本語教育史
(2)日本語教育と国語教育
(3)言語政策
(4)日本語の教育哲学
(5)日本語及び日本語教育に関する試験
(6)日本語教育事情:世界の各地域,日本の各地域
4.日本語教員の資質・能力

去年の検定試験で特に多かったのは上記の「世界と日本」からの出題で、問題12は「日本文化論」の変遷の問題、問題14はアジアの民主化の歴史に関するもの、問題15は「アイヌ文化振興法」、問題16は「外国人登録法」、問題18は日本のODAに関するものでした。このうち、アイヌ人に関する問題は去年の試験前の「公開用問題」の「試験V」でも出題されていましたので、次回以降も出題されるかもしれません。問題14のアジアの民主化、問題18のODA関連の問題は、日本語とは直接関係がなく、一般常識の問題だといえます。

上記のような一般常識の問題の対策としては、新聞の第一面と国際面には毎日目を通すことと、「日本留学試験」の「総合科目」の問題に目を通しておくこと、の2つが挙げられます。このような一般常識の問題の対策勉強は、日本語教育能力検定試験だけでなく、通訳ガイド試験の「一般常識」のテスト、大学入試の社会科の試験、公務員試験、一般企業の入社試験、前述した日本留学試験の「総合科目」のテストの対策にもなります。

今回は、去年の検定試験の「試験T」で出題されたODA関連の問題を検討したいと思います。

問題18 日本のODA(政府開発援助)の中期政策(1999年8月公表)の冒頭にある次の部分を読み、下の問い(問1〜4)に答えよ。

情報通信の飛躍的な進歩や経済自由化の進展とともに、経済効率の向上や国際的な相互依存が急速に進んでいるが、こうしたグローバリゼーションの流れから取り残される国々や貧富の格差の拡大が問題となっている。
(外務省「政府開発援助に関する中期政策」による)

問1 いわゆる「経済のグローバリゼーション」と関連が最も薄いものを、次の1〜4の中から一つ選べ。

  1 構造の改革  2 構造の調整  3 自由な市場  4 結果の平等

問2 1997年の「京都議定書」において日本、アメリカ、EUに対して示された二酸化炭素等温室効果ガスの削減目標の割合として最も適当なものを、次の1〜4の中から一つ選べ。

  1 日本 6%  アメリカ 7%  EU 8%
  2 日本 8%  アメリカ 15% EU 7%
  3 日本 10% アメリカ 20% EU 15%
  4 日本 15% アメリカ 10% EU 20%

問3 日本のODAに関する記述として不適当なものを、次の1〜4の中から一つ選べ。

  1 2001年の供与額は世界第2位である。
  2 GNP比では、国際目標の0.7%に及ばない。
  3 「円借款」という独特の貸与方式の割合が大きい。
  4 2001年9月の同時多発テロ以降、供与額は増加し続けている。

問4 日本は食料等の供給を海外に依存しているが、日本の「穀物自給率」(1998年重量ベース)は約何パーセントか、最も適当なものを、次の1〜4の中から一つ選べ。

  1 15%  2 25%  3 45%  4 65%