日本人は英作文でbe動詞を多用する傾向があります。また受動態、つまりAがBされる、という形の英文が多い傾向もあります。これは、日本語が「叙述的」であると言われる言語であり、その日本語を英語にするときもそのままひきずっているからだと思われます。
例えば「山が見える」というS+V+Cの日本語を英語で直訳すると、
Mountains can be seen.(S+V)
Mountains are visible. (S+V+C) |
となります。もちろん、文法的には間違っていない正しい英文なのですが、これらは不自然な英語なのです。普通は、ご存知のように
I (can) see the mountain. (S+V+O) |
と言います。これからもおわかりのように、日本語は受動態が多いため、英語で何かを言おうとする時も、私たちはついついS+VやS+V+Cという形の英文を作ってしまいます。同様に、「彼の声が聞こえる。」も、”His
voice can be heard.”でも“His voice is audible.”でもなく、”I can hear his voice.”となります。この「S+V+O」の英語の発想が板についてくると(become
second nature, come natural)、次のような英語が使えるようになってきます。
日本語 |
文構造 |
英語 |
文構造 |
変だな。 |
V(be 動詞)+C |
I don’t get it. |
S+V+O |
いやだわ。 |
V(be動詞)+C |
I don’t like this.
I hate it. |
S+V+O |
やめてよ。 |
Vのみ |
Cut it out. Stop it. Knock it off. |
V+O |
やった! |
Vのみ |
I did[made] it! |
S+V+O |
愛してる。 |
Vのみ |
I love you. |
S+V+O |
この問題には
頭が痛いよ。
|
|
This problem gives me a headache. |
S+V+O |
もちろん英語でも、”It’s odd.(変だな)” や“It’s disgusting.(むかつくぜ)”や”He’s creepy guy.(気色の悪い奴だ)”
のように「S+V+C」でいう言い方も多いですが、上記のものや”He gives
me the creeps.(気色悪いな)”のように、「S+V+O」で表現するのは英語特有で、それを直訳すると不自然な日本語になってしまうでしょう。
また、次の和文を英語で言ってみてください。「先日買ったその車のエンジンはすばらしい。」日本語の語順に忠実に直訳すると、”The
engine of the car I bought the other day is excellent.”とイマイチな文になってしまいますが、このS+V+Cの英文を次のようにS+V+Oにすると、英語らしくなります。”The
car I bought the other day has an excellent engine.” 同様に「心臓には2つの心室があります」を、There
are two chambers in the heart.と、「〜がある」という日本語を聞けば、もう自動的にThere is ( are
)〜の構文で言ってしまいそうになりますが、S+V+Oを用いた”The heart
has two chambers.”の方がいいでしょう。
こういった英語のS+V+Oロジックの極め付けが「無生物主語」の用法です。 これに慣れて使いこなせるようになると皆さんの英語が格段グレードUPします。
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