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「あのー実はね、1週間ぐらい前に、銀座で10年ぶりに高校時代の友達とねー」といったこの日本文、長いことしゃべっている割にはまだポイント(誰が何をした)は述べられていないことにお気づきですか?これを英語で言おうとすると、まず主語のIが来て、次にすぐ動詞(V)が来るはずです。つまり、英語では動詞(ポイント)を先に述べてから修飾していくのに対して、日本語では先に修飾語を全部述べ終わってから動詞(ポイント)を述べます。ということは相手の顔色を見て、そのポイント部の動詞を変えるといった”evasive”なアプローチが取れるということです。こういった曖昧さは英語では通用しません。
また、日本語のコミュニケーションは、相対的に「行間を読み取る察しの言語(a language of conjecture)」であるため、言いたい事が英語で伝わりにくいことがあります。 このように日本語は「行間を読め(read
between the lines)」と言わんばかりのメッセージの送り方をする場合が多く、前述の「便器にものを捨ててはいけません」もその表れです。多くの日本人はこのわかったようなわからないようなメッセージのやりとりに「何となく」慣れてしまっています。
そういった文脈依存度の高いコミュニケーション(high−context
communication)は、文学性の高い小説や非常に親しい間柄でのコミュニケーションでは価値も高まると思いますが(実際英語でも多い)、一般の会話やパブリックメッセージでは誤解を生むもとなので、英語の学習をしている皆さんには、日本語と英語の”langaculture”を身につけた”bicultural”な”bilingual”になってほしいと思います。
日本語の「〜ですが」、「〜すれば」、「〜なので」、「〜ですから」を、
短絡的に考えて、英語を話すときに、but, if, because, soなどを用いて言おうとすると、訳のわからない変な英語になってしまう場合があります。
テレビの刑事ドラマを見ていると、犯人追跡していた刑事が民家に行って「バイク(単車のこと)を貸してください、必ず返しますから。」というシーンがありましたが、それを英語で直訳して”Please
lend me your motorbike because I will never fail to bring it back to
you.”と言うと、不自然な論理的でない英語になってしまうでしょう。もとの日本語は自然なよく使われる言い回しですが、英語では、”because”がいけない。becauseを省いて、Please
lend me your umbrella. I will never fail to bring it back to you. と2文に分ければOKです。”borderless
Japanese”の見地からも、「凶悪犯人を追跡するのに(これは理由になりうる)バイクが必要なのです。必ず責任を持ってお返します。なにとぞお貸しください。」という日本語が理想的です。
英語を勉強している日本人が英語圏へ語学留学しようとしているが、英語力に自信が無いので不安がって躊躇している人に対して、「アメリカへ行けば何とかなるさ。」と言いました。これを直訳して、”If
[When, Once]you go to America, you can manage[survive].”とすると変な文になってしまうでしょう。これは日本語の「〜すれば」を短絡的に「必然性」と考えた結果起こった過ちです。
これを論理的な英語に翻訳すると、
“Don’t worry. You can survive.”、 “Go to America first and worry later.”、
“You should to go to America rather than just worry about it. Just do
it.”のようになります。 これは「読めばわかる。」と同じく、話者の「推量」を表す言い方で、そこには英語の、if, whenなどのもつ「必然性」「時」のコンセプトがないので、要注意です。
この他、日本語の「〜ですが」というのは「逆説」でないことが多いのはご存知だとは思いますが、英語の”but”には大きく分けて次の6つの用法があります。
1. |
前に述べた事と対照的なことを述べる場合(contrast)
e.g. It’s very expensive
but very useful. |
2. |
さらに情報を付け加える場合
e.g. They believe in the ideology, but another
point I’d like to make is……………… |
3. |
会話で話題を変える場合
e.g. But now to the main issue. |
4. |
誤ったり言い訳をする場合
e.g. I’m sorry, but…… |
5. |
何らかの事をしない理由を述べる場合
e.g. I want to go, but I’m too busy. |
6. |
驚き、強調などを表す場合
e.g. But she is lovely! You speak like your father.
But exactly. |
これに対して、日本語の「〜だが」には、英語の3と6に相当する用法があいませんが、その代わり次のように情報を追加したりする英語の”and”に当たる用法がある点に要注意です。
「彼は勉強は苦手だがスポーツもだめだ。」
「実は飛行機のチケットのことなんですが…..」
特に2つ目は意味はなくいわゆる「潤滑油」みたいなもので、これは日本語のコミュニケーションに非常によく見られます。
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