さて皆さん日英発想トレーニングはいかがでしたか?ためになったでしょうか。

このように日英の発想の違いから、ノンネイティブが通じにくい英語を話してしまうことが多々あります。この他にも。例えば

「彼の英語力は日本のビジネスピープルの水準を大きく上回っています」

を直訳して、”far better than the level of Japanese businesspeople”とするのは、日本のビジネスピープルはピンからキリまでいるのでvagueなので、”he has a far better command of English than do average Japanese businesspeople.のように、”average”をつける必要があります。

発想の違いに強くなる方法

こういった「日英の発想」の違いに洞察が深まり、敏感になりやがて両方を自由自在に使いこなせるようには次のような方法があります。

1. 日本語と英語字幕を比較しながら邦画を見る。
2. 英語と日本語字幕を比較しながら洋画を見る。
3. 論理性を鍛える(エッセイライティング添削を受けてライティング力を上げたり、GREのLogical Analysisの問題などを解くのもいいでしょう)
4. ネイティブスピーカーと会話をし、相手が怪訝そうな顔した時にすかさずパラフレーズしコミュニケーションを図る努力をする。(ただ会話するだけではなく、相手の顔の表情に気を配り、常に通じさせる努力をする)
5. 語彙の定義にうるさくなる(英英辞書を引き「語感」を養う)
6. シャドウイングを毎日する(英語を語呂・リズムで吸収してしまう。)
7. 洋画のテレビドラマを英語で見ながらこういう状況ではこういうのかを学んで行く。

 特に1は効果的で、最近はDVDのお陰で、日本でも邦画や日本のアニメを英語字幕で見れるようになりました。このやり方は英語の「超級者」以外は2の洋画を日本語字幕で見ながら日英比較していくより効果的であることが多いのです。というのは洋画をネイティブ並みに理解できる人なら問題ありませんが、そうでない人は日本語の字幕と下の英語を比較しながら見れる部分が少なく、勉強効率が悪いことでしょう。そこで私は、1のやり方をお勧めします。

一昔前は”total immersion”といって、英語の世界にどっぷりつかり、一切の日本語は使わず、ネイティブスピーカーとの会話の時間をとにかく増やすというアプローチが主流でしたが、人間はすぐに同化できるカメレオンのような存在ではないので、このアプローチには限界があります。

例えば、人の名前を言い間違えて「良子さん」と言ってしまったけれど、実際は「花子さん」だったような時に、たいていの日本人は、”I’m sorry.”を連発したりしますが、そういった場合は、I’m sorry.を何度も言うのではなく、”Yoshikosann, I mean Hanakosan.”のように”I mean”を使うのがベターなのですが、そういった事を、ネイティブとの会話だけで習得するのはなかなか難しく、ネイティブの発想の英語がかなり自然に話せるようになるには、英語圏に10年以上住んでその言語文化を吸収する必要があります。

普段は、ほとんど日本文化の中で生活し、日本の事象が多い中、「日本語の発想の英語(Japanese English)」が流暢になるといった問題点が起こって来ます。事実、英語のサークルや大学のESSや英会話などOutputばかりしている人にそのケースが多く、あれは「日本語を英語という言語を用いて話しているだけ」といった事態が起こっています。

やはり大人になって日本文化の発想が染み付いた状態で英語を勉強する場合は、前述のように「直説法」と「比較文化的洞察」の見地の両方で補完し合い、bilingual, biculturalを追求するほうが、時にJapanese English、時に、native speakers’ English、時に”borderless English”を話せる「真の国際人」を目指して欲しいものです。

そのためには前述の7つを組み合わせ、とりわけ1のアプローチによって日本語と英語両言語への洞察・認識(sensitivity)を養って欲しいものです。つまり英語の勉強によって、intelligenceが高まり、「英悟」することができるわけです。

Let’s enjoy the process! (陽は必ず昇る!)