2019年全国通訳案内士一次試験講評

地理

全体的に、出題地域が全国に程よくちりばめられている印象があります。問題の質としては例年通りかやや易しめで、きちんと勉強していれば合格点を取ることは問題ないでしょう。少々難問と思われたものは、問9の外国人が多く訪れる地域とJR駅との組み合わせで、地元の受験生にとってはサービス問題であっても、東京都内に縁のない受験生には難しい問題でした。問1のニセコや問30の元乃隅神社は、観光ニュースなどで話題になった観光地ですので、日ごろから意識を高くもっている受験生にはサービス問題だと感じられたと思います。問11の宝川温泉や、問32の湯田温泉を正解するためには、一つ一つの温泉の名前と位置だけでなく、それらの特徴をしっかり覚えておく必要があります。

歴史

歴史は、出題傾向は去年とほぼ同様でしたが、難度は去年よりやや低くなりました。しかし、「正しいものはどれか」のタイプの設問が多く、選択肢となる文をしっかり読み込まないと誤りの箇所が見つけにくいように作ってありました。これらの問題を正答するためには、観光地・史跡などを、自分が案内するつもりでひとつひとつ調べてきっちり押さえておく必要があります。通り一遍の歴史学習では触れることのない情報が設問のキーになっている問題が多くありました。例えば、問26の東福寺、問27の高台寺、問29の姫路城、問35の後楽園、問36の宇喜多秀家について自信をもって解答するためには、一般の歴史常識より一歩踏み込んだ学習が必要です。しかし、一度勉強しておけば、一生の知識になりますので、答えられなかった受験生は今後、そのような学習を取り入れてください。

一般常識

官公庁が直近に出す観光白書から主要な数字や事象が出題されるのは例年通りで、レベル的にもほぼ昨年と同様でした。問1から問6がそれに当たります。観光白書をダウンロードし目を通すことは、合格のための必須事項です。その際、昨年度との比較、首位~5位ぐらいまでの項目を、頭の中で絵を描くようにイメージしておくと記憶に残りやすいです。また、最近、国内外で起こったニュースにもまんべんなく気を配っておくことも必要です。最近指定された世界遺産やラグビーワールドカップに関する出題(問9、問15)は予想通りでした。その他の問題も、常識で判断できる問題が多く、難問といえるものはありませんでした。

通訳案内の実務

観光庁の研修テキストからの出題という基本原則は守られていました。法規条文からの設問が多く、やや難しく感じられたかもしれません。問11のように、条文を読んだ上でも頭をひねってしまう問題もありましたが、テキストにきちんと目を通していれば正答できる問題がいくつかあり、合格点を取ることはさほど難しくなかったと思います。一般常識と通訳案内の実務との垣根ははっきりしておらず、問17から問19などはどちらから出てもおかしくない問題でした。今回、宗教に関する出題はありませんでしたが、軽視していい分野ではありませんので、きちんと勉強するように心がけてください。

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